TACT/FESTIVAL

池袋にある東京芸術劇場が、東京文化発信プロジェクトとして海外から一流の劇団を招聘して行なう企画公演です。期間中には毎年、カナダの劇団コープスによる無料公演「ひつじ」も行なわれています。

ピアニスト

日時2017年5月5日(金・祝) 16:00~17:00
場所東京芸術劇場
料金2,000円

フィンランドのカンパニー「シルコ・アエレオ」による公演です。地下のシアターイーストで行なわれ、270ある座席はほぼ埋まっていました。自由席だったため、前から3列目のほぼ中央のC列13番に座りました。
出演者はピアニスト1人だけで、彼が登場してからステージに置かれたピアノを弾くまでに様々なことが起きるという、クラウニングを主体としたスラップスティック・コメディでした。ピアニストはシャンデリアに頭をぶつけ、ピアノの足は外れ、椅子の座席は高すぎ、スポットライトは当たらないといった具合です。
最後の方にピアノから煙が出てきて客をはらはらさせた割には、オチが弱いというかよく分からなかったのが少々残念です。それ以外は客席に何度も下りてきたり、楽譜を丸めて投げ合ったりと、観客も巻き込んでの楽しい舞台でした。

空飛ぶ男たち

日時2016年5月8日(日) 13:30~14:40
場所東京芸術劇場
料金1,750円

地下のシアターイーストで行なわれ、観客は200人を少し超えるぐらいでした。私の席はE列13番で、前方ほぼ正面です。定価2,000円のところ「リネア」と2公演セットで3,500円でした。
入国審査で止められてしまった、赤の他人と思われる男2人が拘置所(?)に入れられて、仕方がないのでそこで生活を始めるといったストーリーでした。
それぞれが持っていたスーツケースを空中に吊るし、その上に乗って行なう「エアリアルトランク」をメインに、色々なアクロバットが登場します。スーツケースから取り出した道具で周りを飾ったり、それを小ネタとして使う趣向が楽しい。
難点を言えばストーリーが厳然としてあるのに、そこに必然性がないことです。特にときどき鳴り響く警報は、なぜそれが鳴るのか、鳴ったらどうなるのか、なぜ鳴り止むのかといったあたりが不明でストレスがたまりました。単に場面を転換するための暗転の代わりだったのでしょうか。

リネア ~ダンシングロープ!

日時2016年5月8日(日) 11:00~11:55
場所東京芸術劇場
料金1,750円

地下のシアターウエストで行なわれました。全部で270席あるところ、200人ほど入っていたでしょうか。私の席はD列10番で、前方ほぼ正面の席でした。定価2,000円のところ「空飛ぶ男たち」と2公演セットで3,500円でした。
男女2人の演者がずっと舞台上にいて、色々な長さの太いロープを使っていきます。床に置いた長いロープ上を輪が移動したり、短めのロープで人形を作ったり、丸めたり伸ばしたりしたロープをジャグリングしたり、といったアイデアが次々と登場します。ロープの両端に磁石が付いていて、それをくっつけたり離したりすることでロープの表現が豊かになっていました。
公演全体を通してのテーマは「硬いと柔らかい」だったようです。変にストーリーを作らず、ひたすらロープの造形を見せていく手法は正解だったと思います。

ハンスはハイリ ~どっちもどっち?!

日時2014年5月11日(日) 13:00~14:40
場所東京芸術劇場
料金2,400円

プレイハウスで行なわれ、1階席は満員でした。私の席は1階O列8番で、やや後方の下手側です。定価3,000円のところ「リメディア」との抱き合わせで4,800円でした。
2013年の「シュフ・ウシュフ」と同じ演出家による公演です。6人の演者(と音響係1人)が意味のあるようなないような動きをしたり、ときどきまとまったネタを披露したりしていました。そしてこの公演の最大の特徴である、4つの小部屋に分かれた大きな四角形がぐるぐる回ります。
ネタの中では椅子に座ろうとして座れないという状況がよかったです。また、半分になった机が2個あって、半分のまま利用したり組み合わせて1つの机にして使ったりしていたのも面白いと思いました。
演者が奇声を発したり、痙攣したような動きを繰り返したり、パンツ一丁で踊ったりといった、ある意味分かりやすいアクションで会場は盛り上がっていました。最後はスタンディングオベーションをしている人も結構いましたが、個人的には物足りなさが残りました。その最大の要因は舞台装置が十分活用されていないことにあります。部屋が突然動き出すという非日常に対して、パニックになるわけでもなく冷静に対処するわけでもなく、ときどき思い出すぐらいの使い方しかされていませんでした。リメディアと比べると、全体的に詰めが甘いというか洗練さが足りない印象でした。

リメディア ~いま、ここで

日時2014年5月4日(日) 15:00~16:15
場所東京芸術劇場
料金2,400円

プレイハウスで行なわれました。私の席は1階O列23番で、やや後方の上手側でした。8割ほど埋まっていたでしょうか。定価3,000円のところ「ハンスはハイリ」との抱き合わせで4,800円でした。
全体を通して暗めの照明でストーリーらしいストーリーはなく、サーカスの演目っぽいこともしません。10人ほどの演者が出たり入ったり、移動する暗幕に隠れたり、扉から出てきたりして、何が起きているのか全体を把握するのは困難でした。オープニングでは人が触った物が次々と壊れ、元に戻そうとすると別の場所が壊れるわ、壁は崩れるわ、照明も落ちるわ(!)、ドリフ的あるいはトムとジェリー的な楽しさがありました。
人が宙に浮いてしまうパントマイムでは、浮く人を2人がかりで押さえつけようとしている様が本当に浮いているように見えてすごかったです。1人が斜めになるシーンでは何人もの黒子がギリギリのところで斜めの人を支え続け、机も椅子も照明も、暗幕まで斜めにしていくのが面白い。
他にもみんなで揺れる場面や、1つの水をみんなで取り合う場面など、突然始まった状況に最後は大勢が加わって賑やかになる様子がよかったです。

シュフ・ウシュフ

日時2013年6月9日(日) 14:00~15:10
場所東京芸術劇場
料金4,000円

プレイハウスと呼ばれる800席ほどの中劇場で行なわれました。私の座席は1階N列22番という1階席やや後方の上手側でした。会場の8割ほどは埋まっていたと思います。
ズィメルマン & ド・ペロという2人組の演出家による公演です。動いて柱にもなる壁が舞台上にあり、12人のパフォーマーがその前へ出たり後ろに隠れたり、壁に乗ったりぶら下がったり落ちたりしていました。全体を通してストーリーは特になく、アクロバットを中心として歌や演奏や動物の鳴きまねなど色々なことをしていました。ところどころに笑いもあり、サーカスよりはマスゲームの組体操や大道芸に近い印象で、そうかと思うと照明を落とした静かで芸術的なシーンもあり、言葉で言い表すのが難しいです。
開演時刻前にパフォーマーがみんな舞台の上にいて準備運動をしていたのが珍しい。ちょうどオーケストラが楽器の調律をするのと同じで、演出としては面白い試みだと思いました。